+++たいちょうかんさつ日記 ■番外編■ +++



交換日記!! (6)   ++ 真田隊長 VS ・・・・・ ++


「真田、…何故あなたがここにいるの?」

「…ああ、気にするな」



今日はリペ訓二日目。そして今航空基地の一室でリペ降訓練前のブリーフィング中。
メンバーはヒヨコ隊と俺と五十嵐機長を筆頭とした「わしたか」航空チーム、
・・・・・と、何故か真田隊長。

俺らがブリーフィングにと航空基地のこのミーティングルームに入ってきた時には既に隊長は俺が座る予定であったお誕生日席を陣取って座ってはった。
「隊長なんでここおるんですか!」って勿論つっこむわ。ヒヨコらも何でここに隊長がおるん?ってわけわからん顔しとるし。そんな俺らの驚きの声を聞いても一向に動じる事無く「気にするな」の一点張りで、イスから立ち上がる気配も一切ないし。
しゃあないから俺はヒヨコらが座る横一列に詰めて座るはめになってもた。
お前らもっと遠慮して詰めて座れっ!密着しすぎて暑苦しいんじゃっ!
しかし隊長、今回は何考えてはるんですか…!?


「……。嶋、これはどういうこと?」

「ハッ、ハイッ!!いや、これは、その…」

隊長じゃ埒があかんと判断しはった機長の白羽の矢が今度は俺に向けられた。
ブリーフィングしに来たら関係ない隊長がいるねんもん。そりゃ言及されるわ。
でも俺もわからんもんやからガタッっと飛び上がるように立ち上がったが答えようのなさにどもるしかなかった。

「五十嵐。嶋本をいじめるな」

??
俺の耳…おかしなったか??
いや、おかしい言ったら今のヒヨコらの顔やで。
口ポカーンて開けっ放しのまま、瞬きするのも忘れて一点を見とるねんから。普段からのアホ面が余計ひどなっとるで。しかも、よう見たらチーム「わしたか」の皆さんまで…
何みんなでアホ面大会しとるん?しかも揃って真田隊長を見上げて。
そんな中唯一まともなんは、机の上に広げた書類から目を上げる事すらせんかった五十嵐機長だけやった。

「…嶋。」

「ハッ、ハイッ!!」

そっ、そうや!俺機長の質問にまだ答えられてへん!書類から目を離す事なく声だけで呼ばれるてめっちゃ怖い!
うわ〜どないしょ〜!って一人パニックになりかけた時、今度はハッキリと耳に入ってきた。


「…五十嵐、嶋本が困っている。それ以上いじめると俺が許さない」

隊長!?

真田隊長がマジ顔で五十嵐機長を見てはる。
でもって五十嵐機長もついに書類から目線を外しゆっくりと顔を上げはった。



カチカチカチカチ…

時計の秒針の音だけが妙に耳につく。時計ってこんなにうるさい音出してたんや。
おいおい、ヒヨコらこんな所で固まって息止め合戦開催せんでええし。
っていうかこの空気酸素入っとるか!?何かだんだん息苦しくなってきたで。

一触即発ってこういう状態の事を言うんやろな。

当事者の二人以外は睨まれてもないのに『蛇に睨まれた蛙』状態で固まるしかできんかった。

そんな緊迫状態が暫く続いて(多分数秒やと思うけど俺には何十分にも感じたわ。)それに終止符を打ってくれたのは何と五十嵐機長やった。

「……。嶋。5分、時間をあげるわ。それを戻してきなさい。それからこれを高嶺に渡しなさい」

「ハッ、ハイッッ!!」
五十嵐機長は訓練計画用紙を一枚破り取ると、それに何かさっと書きはって半分折りにして手渡された。

「お前等!俺がおらんでもちゃんとしとくねんぞ!隊長ちょっとスンマセン!」

「?嶋本どうしたんだ?どこへ行くんだ?」

ヒヨコらに俺がおらん間も騒がんよう釘をさし、隊長の腕をガシッと掴むと、俺を制止しようとする隊長の声は一切無視してグイグイと引っ張るようにミーティングルームを後にした。



バタンッ!!

「高嶺さんスンマセン!隊長がこっちに」

「隊長!そちらに行かれてたんですか!!嶋ゴメンネ。ちょっと私が目を離したすきに…」

今日の三隊は基地で待機だった。暫く隊長の姿が見えないなと思っていたが、走り込みにでも行ったのだろうと思われてたらしい。

「高嶺、今日から俺はヒヨコの訓練の方に参加する。あとは頼む。さぁ嶋本戻るぞ」
・・…。
「隊長、勝手にそんな事決めないで下さい。嶋も困ってるじゃないですか」
「五十嵐が嶋本をいじめるようだからな。俺は隊長として嶋本を守らなければならないのだ」
「いぢめって…子供じゃないんですから」

―――高嶺さんガンバレ〜〜〜!
俺には隊長をおさえられへんけど、高嶺さんなら何とか・・・・・ってそうや!五十嵐機長から高嶺さんにてメモ預かっとったんや。

「高嶺さん、コレ五十嵐機長から。何や預かってきました」
「??」
ポケットに突っ込んでたもんやからちょっとくしゃくしゃになってもたけど高嶺さんに確かに手渡した。


「ヒィッ!!」
五十嵐機長からのメモを受け取り読んだ瞬間高嶺さんが奇声を発した。
高嶺さんがこんな驚きするって一体何が書かれてんねん!
「どないしたんですか!?」ってワナワナと震えながら握りしめてるメモをヒョイと覗き込んだ。

「ヒィッッ!!!」


高嶺へ

真田の管理くらいきちんとしなさい。
またここへ真田が来るような事があれば
その時は嶋本とヒヨコの命の保障はないと思いなさい。


「どうしたんだ?」

メモを読んだ二人が次々と奇声を発したもんだから隊長もメモを覗き込もうとしたその時、

グシャ!ガシッ!!


「たっ、高嶺!?何するんだ!?」

「嶋!!今すぐ戻りなさい!隊長は私が何とかしますから!!」

「ハッ!ハイッ!!頼んますっ!!」


あんなメモを隊長に見られたら益々逆上して五十嵐機長の元へのりこんで行くに違いないと判断した高嶺さんはメモを握りつぶした瞬間、真田隊長を後ろから両腕を掴み動けないように捕獲しはった。そして俺は高峰さんに後はまかせて航空基地へとダッシュで戻った。
俺が戻った後、トッキュー基地では「高嶺離せっ!」だの「嶋本〜〜!」という隊長のご乱心なお声がしばらくの間響き渡ってたそうだ。

高嶺さん達が頑張ってくれたおかげで隊長がこっちに再び来はる事はなく、俺やヒヨコの命の保障もされたけど、隊長を押さえ込むのは相当大変やったらしい。
訓練から戻って来れた俺たちが見たものは、
訓練後のヒヨコ以上にくたくたに疲れ果て、机につっぷして屍と化した三隊だった。


NO.6


いっ、いかがでしたでしょうか?リペ訓乱入編。正確にはリペ訓前に追い出されてるので、正しくはブリーフィング乱入編、ですね。苦笑。五十嵐機長と天然隊長には噛み合ってない会話をして欲しかったので冒頭の二人のセリフは個人的に好きなんです。
それから今回、ヒヨコ訓練に乱入禁止令が五十嵐機長により出されたので残念ながら隊長がリペ訓に今後にもぐりこむ事は出来なくなりました。
ここに来て暴走隊長を止める事が出来る人が現れました!(と言ってもメモ一枚で命令しただけで、実際体張って止める役は三隊のみなさんなんですが)さすが五十嵐機長です!!真田隊長を「真田」と呼び捨てにしちゃう所がたまらなく大好きです!
原作のカッコいい隊長と五十嵐機長が遭遇して大人な雰囲気を醸しながら会話をしてくれるシーンが早く来ないかと楽しみな守村でした。





モドル