+++たいちょうかんさつ日記+++



茶柱


今日休憩の時に高峰さんが隊長にお茶を入れててん。
そしたら隊長が「あっ…」って言って湯呑みの中を覗きこんでるから
みんなしてどうしたんですか?って隊長の周りを囲むようにその湯呑みを覗きこんでん。
そしたら

茶柱…

隊長の湯呑みの中に細くて小さい茶柱が
うまいことバランスとってプカプカと
浮いとってん。

「隊長茶柱じゃないですか!いいことあるかもですよ!」
「茶柱って初めて見ましたよ〜」
「茶柱見れただけでも俺にもいいことあるかな〜」

とみんな口々に隊長の茶柱を見て和みトークをしよったんやけど、
そん中で隊長だけが一人、ほんわか茶柱トークに似つかわしくない
何やら神妙な表情をしてはってん。

「隊長、どないしはったんですか?」
ってちょっとこっちも声のトーン下げ気味で聞いてみたら

「茶柱の立ったお茶はこの後どうするべきなんだろうか…」

「えっ?」

「このまま見続けるわけにもいかないだろ。そうすると飲む場合、
茶柱も飲んでしまうのか、茶柱は飲まないように茶を飲むのか…」

隊長…真剣に悩んではる…
そんなくだらん、いやいや小さな事でも真剣に悩んでしまうなんて
ホンマかわいすぎますよ!!
茶柱も自分の行く末をこんなに真剣に考えてもらえるなんて
なんて幸せモンなんや!ってちょっと茶柱に妬いてもたっちゅーねん!

しかし茶柱ってホンマにどないしたらええんやろ?
今まで自分のお茶に立った事なかったからそう言われると考えた事なかったわ〜
他の隊員も俺と同じくわからんようで言葉に詰まってたら、高峰さんが

「隊長、茶柱は途中で沈ませないないようにお茶と一緒に飲んでしまっていいんですよ」
さすが高峰さん!何でも知ってはる!だてに睫毛長くないね!って関係ないか。

「そうか。途中で沈ませないようにだな」
と隊長はまるで茶柱という要救助者の救助要請を受けたかの勢いで、
めちゃくちゃ真剣な顔つきでお茶を飲み始めた。

もうアカン。見とられへん。
笑ろてまう。
悪いけど隊長おかしすぎます。そんな顔でお茶はありえへんて。

周りにいた隊員も俺と同じく笑いを堪えるのに必死で、一部酸欠になりかけてた奴もおった。

隊長…茶柱で笑いをありがとうございました


NO.03


モドル