+++たいちょうかんさつ日記+++



○○恋人


今日基地長が週末に北海道旅行行ってきたからって土産に「白い恋人」を買ってきてくれてん!
知っとる?白い恋人。
北海道の土産と言えば「白い恋人」か「六花亭のバターサンド」と大半の人が答えるであろう有名土産の一つ!
ラングドシャの間にチョコが挟まったシンプルなお菓子やねん。あれなホワイトチョコとミルクチョコがあるねんけど、絶対ホワイト!あのやわらかく口いっぱいに広がる甘さ。あ〜癒される〜って感じがたまらんねん。ミルクチョコの方はなんか俺には合わんかったわ。
って何でこない熱く語っとるねんて思っとるやろ。
何を隠そう、昔っからめっちゃ白い恋人が好きやってん(ホワイト限定な)。
誰かが北海道行く時は必ず土産に指定して買ってきてもろたりしとってん!
そういや最近は土産もらう機会もなくてとんとご無沙汰しとったわ〜もうめっちゃ嬉しいで〜基地長ありがとうございます〜〜

俺はもう心底喜んでたね!久しぶりの白恋に☆ ・・・そう、包み紙破って箱を開けるまでは。

「えっ!マジ!?嘘やぁ〜〜!」

ありえへん!何でコレを買ってくるかな〜白恋好きの俺にケンカ売っとるんですか〜基地長ぉ〜!

確かに中身は大好きな白恋やってん。そやけど数が悪すぎや!

    36枚入り

そしてトッキューの隊員数は36人。

それって一人一枚やん!
ピッタリすぎて一切余りなしやん!
一枚しか食べられへんやん!!久しぶりの白恋やのにたった一枚しか食べられへんなんてキツすぎるわ〜

もう俺はショックでぼーぜんとしてもたわ。

「おっ、お前ら!ちょー待て!一人一枚やからな!絶対2枚取ったらアカンで!」
俺が呆然としとる間にもどんどんハイエナのように群がり食べようとする隊員ども。
ちょー待て!そやから一人一枚や言っとるやろっ!
なんや嶋、鍋奉行ならぬ恋人奉行か?――と言われたが、俺がもっと食べたい所をたった1枚で我慢しとるねんからお前らが1枚以上食べるのは絶対に許さんからな!と厳しく目を光らせて監視した。
そして俺の分の1枚を誰かがズルして数が足りんくならんうちにしっかり確保しておいた。
貴重な一枚。
久しぶりの白恋。
たった一枚やねんからしっかり味わって食べらなな。

    パクッ

んなぁ〜〜!やっぱ最高やぁ〜〜!
一気に食べたらなくなってまうから、みみちい食べ方やけど、一口一口ゆっくり味わって食べようと、まずはファーストインパクト(一口目)で口いっぱいに広がった甘味に酔いしれた。

「どうしたんだ、嶋本。何かいい事でもあったのか?顔がニヤついてるぞ」

あっ、真田隊長。って顔ニヤついてましたかっ!!うわっ恥かしっ!

「あっ、そうや!隊長、コレ基地長の土産です。隊長も1枚どうぞ」
そう言って箱から1枚取り出して隊長に手渡した。

「あぁ、基地長北海道行かれてたのか」
「そうみたいですよ。北海道行くなら事前に言ってくれたらよかったのに」
俺はちょっと不機嫌モードになった。

「どうしてだ?何かあるのか?」
「俺、この白恋めっちゃ好きなんすよ。そやからいつも北海道行く人いたら頼んで買うて来てもらうんです。最近とんとご無沙汰やったから基地長が行くて分かってたら絶対お願いしてたのに!」
お願いできてたらこんなたった1枚をチビチビ味わい食べなんかせんですんだのに。

「そんなに好きなのか」
隊長がちょっと意外だというような顔で聞いてこられた。はい、俺も基本的に甘いのは苦手なんですけど、これだけは例外で昔っからめちゃくちゃ好きなんです。
「そやから今めっちゃ基地長に腹立ってるんですよ!お土産にて買って来てくれたのは嬉しいですよ。でも数が悪すぎます!36枚やなんて隊員数とピッタリやないですか。たった1枚しか食べられへんなんて・・・ここだけの話ですけど基地長ともあろうお人がみみっちいですよ。普通もっと多めに買ってきてくれますでしょ。こんなきっちりやったらもっと食べたくても1枚しか食べれませんやんね!」
   パクッ!
(はぁ〜〜やっぱ美味いぃ〜〜〜)
「・・・嶋本、俺の分も食べていいぞ」
「ああっ、スンマセン!!俺そんなつもりで言ったんとちゃいますから隊長気にせんと食べてください!!」
「いや、甘いものはあまり得意ではないからな。むしろ食べてもらった方が助かる」
「えっ、そんなわざと俺のためにそう言ってくれてるのとちゃいますか?悪いですよ」
と言いつつも、目が…
「遠慮するな」
ほっ、ほんまにええんですか?  ・・・ゴクリ

「じゃあ遠慮なく頂きます。・・・せっかくの食料なのにすんません」

「・・・いや、俺は美味しそうに食べている嶋を見ているだけでおなかいっぱいだから気にするな」
 
  !!!

そい言うなり隊長はその辺で白恋を食べようとしていた他の隊員から素早く取り上げると俺の前にドバッと持ってきた。

「遠慮はいらんぞ」

そう言って取り上げられた隊員達の文句など一切受け付けないというオーラを身にまとって俺の目の前に座ると、

「さぁ遠慮せずどんどん食べろ」

と俺をジーッと見つめてる。


そっ、そんな隊長見つめんといてください!
っていうか取り上げられた隊員の目がめっちゃ怖いですって!
それに隊長にそんな事言われたら、はっ、恥かしくて食べれませんって!!


終わり

NO.13


モドル