☆ えりのみや様からの頂き物 ☆

++キャラメルキス++


「シマ、忘れるところだった、いーもんやるぞ」

当直明けの黒岩さんに呼び止められたので振り返ると、
いきなり黄色い小箱が飛んで来た。

「うわっあっぶな、なんすかこれ?」

「見て判らんか、お前なら今だに食っとるだろうと思ったんだがな」

ハッハッハッと、笑いながら髪をぐしゃぐしゃを掻き混ぜられたので、
何時もの様に蹴りを入れようとしたが、
足癖が悪いな、と言いながら片手で止められる。
チッ!今日もあかんかったかと思いながら離れ、手の中の物を見る。

「・・・・・キャラメル」

「どうだ?いーもんだろ」

「だぁーっ!もうこんなん食うとらんわ!」

ふつふつと怒りが湧いて来て、投げ返してやろうとしたら、

「おっと、それはうちの茉莉花から「パパ、これちまちゃんにあげてね」って、
頼まれた物だぞ」

「えっ!?」

黒岩さんの娘さん(父親に似ず、奥さん似の可愛い子で良かった)は、
それこそやっとお喋りが出来始めた頃からの顔見知りで、
えらく俺に懐いてくれてる。
初めて黒岩さん宅に呼ばれた時も、シマちゃんと言えず、
舌ったらずな可愛らしい声で「ちまちゃん?」と、呼ばれたのが始まりで、
今だにちまちゃんと呼ばれている。

「まぁ貰ってやってくれ、お前が最近顔見せねぇから寂しがってる」

「あーっすんません、ヒヨコの調教が落ち着いたら」

「あぁ判ってるよ、そう言えば茉莉花は最近幼稚園で男友達が出来たみたいでな」

物騒にもボキボキと指を鳴らしながらニヤリと笑う。

「子供相手に本気にならんで下さいよ、
もう上がりなら、久しぶりにお迎えに間に合う時間とちゃいますか」

「おっとそうだった、カミさんにメール入れておかんとな、じゃあお先だ」

「お疲れ様でした」


見送ってから、手の中の小箱を見る。
本当に久しぶりに手にする黄色い箱のキャラメル。
甘いんやろなと思ったら、何か無償に舐めたくなる。
疲れとるんやろかなぁやっぱりと思いながら、
透明のセロファンを剥がして蓋を開けると、
昔となんも変わらん様に見えるキャラメルが綺麗に並んでいた。
1個取り出し、残りはポケットへ入れ、白いパラ紙を外して口に入れたら、

「また餌付けされたな」

びっくりして思わず飲み込むところやった。

「・・・隊長」

振り返ると、コーヒーを持った隊長が呆れた顔をしていた。

「餌付けって」

「言ってるだろう、お前は食べ物につられやすいって」

「うーっせやかて、茉莉花ちゃんから」

「聞こえた、冗談だ」

そう言ってる割には、目ぇ笑ってないんすけどね。
しかし久しぶりに舐めるとめっちゃ甘いかも、こんなん甘かったやろか?
多分顔に出ていたのだろう、隊長がコーヒーを差し出してくれた。
どうも、と言いながら受け取る。
砂糖なしのブラック。一口含むとキャラメルの味と相まって結構美味い。
コーヒーの熱で残っていたキャラメルが溶けていく。

「ありがとうございました」

礼を言ってマグを返すと、そんなに甘いのかと聞かれたのでポケットを叩き、
何なら隊長も1個舐めてみます?冗談交じりで聞くと、

「なら、一舐め分」

そう言いながら隊長の顔が近づいて来て、唇を舐められ、思わず口を開けると、
舌を一瞬だけ絡めると、直ぐに出て行った。

「甘いな」

そのままコーヒーを飲むと、仕事の途中だろう、とサラッと言われて我に返る。


えっあっ・・・うわぁっ!隊長のあほーっ!!それこそ仕事中やろがーっ!!


もし声に出していたら、基地中に響かんばかりだっただろう。
それすらもお見通しと言わんばかりに、人の悪い笑みを向けて振り返り、
珍しく声を出して笑いながら隊長は事務室へと戻っていった。

甘い甘いキャラメルとキス。
最後の一舐め分を飲み下しながら、残りのキャラメル舐める度に、
当分隊長のキスと舌の感触を思い出すんやろなぁと思いながら、
仕事に戻った。


                                                *END*


きゃ〜〜〜!私が風邪でダウンしている時に見舞いに・・・と送って下さったお話を強制的に頂いちゃいました。だってこんなにかわいいお話なんですもん!ハァハァハァ・・・当時悶え喜び過ぎて熱上がりましたし!笑。黒岩さんの娘もかわいい!「ちまちゃん」って言われてそうで萌っ!そして隊長の直接攻撃に激萌っ!シマにいつでもタイチョの感触を思い出して欲しいからキャラメルを大量に送りつけようかしら。笑。っていうか隊長がそれを知ったら「キャラメルなんかで思い出さなくても・・・」と直接攻撃開始です。そして「今度からはキャラメルなど食べず直接言うように」とサラッと言われてたら尚萌です。そしてシマは「べっ、別に隊長のキスを思い出したくてキャラメル食べてたんとちゃいますよっ!」と顔を真っ赤にしながら否定してたらもうたまりません。
ありがとうございましたっ!ってうかこんな素敵なサナシマたくさん書いてらっしゃるのにサイトをお持ちにならないなんてサナシマファンとしてどうかサイトを作って頂きたいですっ!(作ってくれるまで猛アタック!!)




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