■ポッキーゲーム祭■  みうのすけさん提出作品(笑)
みうさんのブログにアップされてましたが、こちらにアップさせていただきました。
みうさんのブログパスかかってるのでせっかくの祭で書いてくれたのに他の人見れないんじゃ悲しいじゃん。って事でいいですよね。(許可をココでとるなよ!)


さて。老いも若きも宴会となれば…お約束。王様ゲーム。どこぞの大学生か?とか思わなくもないが、それはそれ。酒が入って理性なんてもんが吹っ飛んでしまえば、なんでもござれな無法地帯。

それは海難救助のスペシャリスト、海保の精鋭特救隊といえども、そこは人のコ。他と大して変わりはしない。

「で…何で俺やねん!!!」
「ははは〜そりゃお前。運が悪かったってことだな」
「そうそう。下僕はおとなしく王様の言うこと聞かねーとなあ」
「てか、それがルールだしな」

ほどよく腹も膨れて酒も入って皆がほろ酔い気分になった頃。誰が言い出したか王様ゲームをはじめて早一時間。よくもまあ飽きずに一時間も続いたものだと思うが、そろそろタイムリミットも近い、ということでラスト大一番ということになったのだが。

「なしてラストでこうなるんや……」

今まで幸か不幸か連続王様なんぞを引き当て、散々口に出すのも憚れるような命令(罰ゲームともいう)を下してきた嶋本にとって、このラストでの一敗は非常に痛い。というか、自分にどんな命令が下されるのか、想像するのも恐ろしい。

「ふふふ。覚悟しろよ、嶋本」
「今まで散々やられっぱなしだったからな」
「さ〜て。どんな命令にしよっかな〜」

とてつもなく楽しげな趣味の悪い笑みを浮かべて和気藹々と相談し始めた仲間を見ながら、最悪や…と逃れようにも脇をしっかり固められ身動き取れないこの状況に死刑宣告を待つ囚人のような気持ちになる嶋本であった。

「よし!決めたぞ!」
「なんや。もうこうなったら何でもしたるっ!さっさと言えやっ!!」

半ばヤケになってそう叫んだ嶋本に、にまりと笑いながら王様を引き当てた同僚は悪魔の宣告を下した。

「真田隊長とポッキーゲームしてこい」

一瞬自分の耳を疑ってしまった。今、こいつ何言うたんや??

「はあ??」
「お前、耳遠くなったのか?仕方ねえな」
「ちゃんと聞こえとるわっ!!ぼけっ!!」
「なら、そういうことで」
「何がそういうことなんやっ!!!」

たっ隊長とポッキーゲーム??ポッキーゲームってアレやろ?あのポッキーの端と端をくわえて両方から食べてくってやつ……。
やばい。絶対やばい。そんなん、こっこんな公衆の面前でできるわけあらへん。

「そんな大したことじゃないだろ?お前のだ〜い好きな真田隊長とポッキーゲームするくらい」
「そうそう。てか、真田隊長、ポッキーゲームって知ってるんかな?」
「さあ?知らなかったら、それはそれで面白いな」
「嶋本がどう説明するのか、実に興味深い」
「……お前ら…ぜったい楽しんでるやろっ!!」
「「「「当たり前!他人の不幸は密の味!!!」」」」

なんてヤツラだ…わかってはいたけど、ここまで人非人なヤツラとは思っとらんかったわ。てか、隊長ここにおらへんやん。どこでせいっちゅうねん。

「おい…隊長おらへんのにどうやってポッキーゲームせいっちゅうねん」
「あ?心配無用。そろそろここに来るはずだぜ?」
「はあ?」
「隊長会議が終わったら飲みに行くってのは恒例だろ?で、あらかじめ店聞いといたんだよ」
「……用意周到……」
「何か言ったか?」
「別に……」

ということで、覚悟を決めた嶋本であったが……。

「たっ隊長っっ!!!ちょっ、ちょっとタンマ!!!」
「なんだ。…またか?」

同僚の言ったとおり、隊長会議が終わった黒岩率いる隊長軍団が合流してすぐ、真田と嶋本の罰ゲームになってるのか甚だ疑問が残るポッキーゲームが始まったのだが。
すでに15分が経過したにも関わらず、未だポッキーをくわえるところまでも進んでいないのだ。

「嶋本ーっ!いい加減にしろよ〜」
「野郎が照れてもかわいくねーぞ!!」

周りから飛ぶ野次に言い返す余裕など今の嶋本にあるはずもなく、いつもと同じ無表情で淡々とポッキーの端をくわえ、ほら、と突き出す真田を真正面から見ることさえままならない。

「〜っっ、んと…んと……」
「ほら…」
「あ〜っっ!!!やっぱ無理っ!てか、ちょお待って!!」

またもや待ったをかける嶋本に業を煮やしたのか、真田は真っ赤になって頭を抱えしゃがみこんでしまった嶋本の腕を片手でつかみ立ち上がらせると、両手で嶋本の頬を挟み込むようにして固定してしまった。

「まったく…いい加減諦めろ」
「やって…こっこないなトコで……」

顔をしっかり固定されてしまい、至近距離で真田の顔を正面から見ることを余儀なくされた嶋本は、それでも必死に視線を逸らせながら、最後の抵抗を試みる。

「罰ゲームなんだ。仕方ないだろ」

負けたお前が悪い。そう言った真田は、やって…とまだ言い訳する嶋本の口に、くわえたポッキーのもう片方をすかさず差し入れた。

そして…突然の出来事に頭が真っ白になった嶋本が最後に目にしたものは、いつもと変わらぬ無表情に見える、だが嶋本だけには微笑んでいるとはっきりわかる、鼻と鼻がつきそうなほど近くで見る真田の顔であった。

「おいっ!嶋本っ!!大丈夫かっっ!!!」
「誰か!水もってこい!水!」

「真田〜お前、嶋本に何したんだよ?」
「俺は何もしていない」
「ったく、こんくらいでオチてんじゃヒヨコと変わんねえなあ」
「てか、ヒヨコん時から成長ないっすねえ」
「真田…お前、ホント嶋本に愛されてるなあ」
「それについては否定しない」
「「「「「「……………」」」」」」

意識を飛ばした嶋本をさりげなく抱きかかえながら、涼しい顔で爆弾発言する真田であった。