梅雨

「ぬぁぁあーー!」

「どうしたんだ?」
横で書類を作成していた嶋本が突然声を上げたので何事かと手を取め視線を向けてみた。

「もう嫌や!この季節は大嫌いや!」

「?何かあったのか?」
関西人が感情豊かななのか、嶋本が豊かなせいか、その辺りはよくわからないが時々嶋本は主語述語なく突然感情的に叫ぶ事がある。
「何かて梅雨ですよ!梅雨!!」
「?」
梅雨がどうかしたのか?確かに雨続きで季節的に好きだという人は少ないと思うが突然叫びを上げるほどのものなのかとやはりよくわからなかった。
「俺この通りくせっ毛やないですか。そやからこの季節になったら湿気が酷いせいでいつも以上に髪がクルクルしてまうんですよ」
「・・・ああ」
そういわれるといつも以上に・・・
「ああ、てそんなじっと見んといて下さいよ〜!もうホンマ嫌なんですから。隊長みたいな直毛がうらやまし一っすよ」
「・・・・」
それは・・・・
「今直毛なサラサラヘアな俺を想像しはったでしょ」
・・・・・
「ええですよ。どうせサラサラヘアも似合いませんから。この季節だけは諦めて湿気と付き合うしかないんですよね。また皆にクルクルておちょくられるわ・・・」
そう言って嶋本は指で髪を一筋掴むとその指にくるくると巻き付けながら諦めがちに呟いた。しかし嶋本がそんなにくせっ毛を気にしていたとは少し意外だった。

「俺は、」

「はい?」

「クルクルな嶋も可愛いと思うぞ。」

「!!」

「嶋本にはその髪型が一番似合っていると思うからそんなに卑下することはない。俺はその髪型も嶋本も大好きだ」

「・・・あ、ありがとうござい、ます。隊長にそんな事言われたら梅雨もちょっと好きになりそうですよ」
えへへと嶋本は笑ったが、俺としては

「・・・梅雨よりも俺を好きになってほしいな」





おわれ







意味もなく日常会話的ラブなサナシマが書きたくなって。
以前から雨とかプールや海で濡れたせいでいつも以上に髪がクルックルなシマネタをいつかは書いてみたいと思ってたのでスッキリです。「今日も一段とクルクルだな・・・」と梅雨の季節、シマウオッチングしてる隊ちょがいたらいいな。サナシマ好きだー!





モドル