た な ば た


(さなしま)



「隊長!空!!めっちゃすごいですよ!!」

「あぁ、本当だな」

「こんな事言ったらアカンけど、今日北海道から救難要請が入ってくれてホンマよかったですよ〜。お蔭でこんなすっごい天の川見れたんですから」

「まるで救難を喜んでいるようで頂けない発言だな。しかし嶋本がそう思う気持ちは分かる」

「でしょ!俺が住んどったトコって星がほとんど見えへんとこばっかりやったから肉眼でこんなに星が見えるなんて驚きですよ!同じ日本やとは思えませんて!」

「そうだな、これが本来あるべき姿なんだろうが、人間たちが私利私欲の為に自然を汚し続けてきたせいで都会ではこのような空を見ることが出来なくなってしまったな。俺もこんな凄い星空を見るのは初めてだ。」

「隊長もですか!じゃあ二人して今日は『初めてすっごい星空を見れた記念日』ですね。しかもそれが七夕の日ってのがまたすごい偶然ですよ!」

「相変わらず嶋本は面白い事を言うな」

「そうですか?」 ヘヘヘッ

「で、隊長!星に願いを・・・ちゃいますけど何か願い事ありますか?ここに笹も短冊もないですし、そんな間接的なもんにわざわざ書かんでも、
直接織姫さんと彦星さんに向かって願い事言ってみたら聞いてくれるかもしれませんよ」

「願い事は心の中で願うものだと思うが。初詣とかでも願い事を言いながらお参りしているヤツは見たことないぞ。それに願い事は他人に喋ると
叶わないという話を聞いたぞ」

「・・・スンマセン、俺の言い方がまずかったです。」

「嶋本なら願い事を口で言いながら必死に祈ってそうだな。あれもこれもと…」

「隊長ヒドッ!!俺そんな子供みたいな事しませんよ!しかもそんな何個も願い事って。めっちゃあつかましいヤツですやん!」

「いや、嶋本は何に対しても一生懸命なイメージがあるからな」

「それって褒め言葉として頂いていいんですか??」

「あぁ、勿論」

「・・・ありがたく頂いときます」

「では、そろそろ宿に戻るか。あまり遅くなると高嶺も心配する」

「そうですね。  あっ、ちょっとだけ待って下さい!」









「オッケーです!お待たせしました!さぁ帰りましょか!」

「何をお願いしたんだ?」

「内緒でーす。他人に願い事を喋るとその願いは叶わないってさっき隊長が言いましたやん。だから絶対に内緒でーす」

「そうだったな。」

「そうですよ」へへっ

「叶うといいな、その願い」

「はいっ!!」













『織姫さん彦星さん、今後もし隊長が俺の目の届かん遠い所に行ってもた時は、どうか俺の代わりに空からしっかり見守ったって下さい』




















モドル