83話より
(注)この話は小鉄×大口
前提な三隊ギャグです。


俺が寝てる間に一体何があったんですか?

それともこれは夢・・・?

コテツさんのあんな大きな声聞くのなんて久しぶり。
しかもその相手が俺じゃなくて、あの新人の神林だなんて・・・


「あのコテツさんが心のドアを・・・」


   ---  knocking on your door  ---



「コテツさん何でなんですかー!」
「・・・・・」

ズカズカズカと近づいてきた怒り顔の大口にいきなり言及される佐々木。
しかしいきなり「何なんですかー」と言われてもこちらの方が「何なんですかー」と返したいくらいである。
いつもの事だが大口の会話には主語が抜けている上にスピードが早いから返答に困る。
だがここでその返答は不毛な水掛け論に陥りそうなので控えてることにした。

「何で新人の神林君にいきなり心の扉を開いて訓練見てあげてたんですか!?俺ですらコテツさんの心の扉を開いて入り込めるようになるまですごいすごい時間かかったのに!何でたかだか一日の訓練で!?」

「いや、何でと言われても・・・」

あの神林の意表をついた待機はかなりビックリさせられた。用をたした後だから良かったものの、あれがもし運悪くも用をたす前だったら、間違いなくかなりの確率で俺はアレもらしていたに違いない・・・
いや、それはさておき、あの時の神林の食い下がり用と来たら・・・
もしあのまま断り続けても決して諦めてくれるような感じではなかった。
しかもあれ以上こちらへ詰め寄られると間違いなくまだ流され切っていないアレを見られていたに違いない。
それだけは絶対に何としても避けたかった。
神林のようなタイプの人間なら、言いふらす事なく見なかった事にしてくれるはずたが、その約束を交わす瞬間はきっとまるで不幸な者を哀れむような、それでいて違和感あるくらいの元気な笑みを浮かべて「大丈夫ですから!俺絶対誰にも言いませんから!」と言うはずだ。そしてその約束通り、神林はきっとこれから先も口には出さないでいてくれるだろう。
だが、他の者に知れ渡らずとも神林に見られたという事実は消えようのない現実として残る。そしてもしかしたら神林は口には出さないが心の中で俺の事を「クソ先輩」だの「ウ○コ先輩」だのと命名するかもしれない。いや神林の事だからご丁寧に「おクソ先輩」と訳の分からない所で先輩の俺に敬意を表してくれるかもしれない。
・・・・・。いやだ。それだけは絶対にさけたい。隊長を無視して勝手に訓練に付き合うのも嫌だったが、あのままアレを見られて「おクソ先輩」と呼ばれる事になる方がもっといやだ。そんな呼ばれ方するくらいなら訓練に付き合うくらい朝飯前で、実際本当に朝飯前の出来事だったわけで・・・・


・・・さん、コテツさん!」
ハッ!!
「あっ、ああ、何だ?」
「何だじゃないですよぉ〜〜!だから、何で神林君に心のドアを開いて訓練付けたったんですか!?」
もう人が真剣に聞いてるのに宇宙と交信しないで下さいよ〜〜〜――と本当に真剣なのか疑いたくなるようなツッコミをする。

「・・・・・。いや、それだけは絶対に言えない。」
 !!!
「コッ、コテツさんが、俺に開いてくれてた心の扉を閉めなすった・・・・」
 フルフルフル………
「閉めなすったって…。そういう事じゃなくて、お前には関係のない事だから・・・」
「かっ、関係ない!?扉を閉めるだけじゃ物足りず、俺には関係ないだなんて、そんな冷たいお言葉まで…」

「お前、言ってる事も喋り方おかしい・・・」
だいたい心の扉ってそんなもの存在しないのに何をそんなにこだわるんだ――と続けようとしたが、大口にその言葉は最後まで伝わる事なく、

「うっ、うわーーん!お母さーん!コテツさんが浮気したぁー!」
    ズダダダダッ!
と何処へ走っていこうとこの烏帽子岩から出る事が叶わないというのに佐々木の前から猛ダッシュで走り去って行ってしまった。
「おっ、お母さん?!」
そして、
    ギュ〜〜!
「一体どうしたんですか?先程から騒がしいと思ったら朝から夫婦ゲンカですか」

!!! ・・・お母さんって高嶺さんの事なのか!?
佐々木の前から走り去った大口が何処まで行ったのかというと、佐々木から5mも離れていない所で朝食の準備にかかっていた高嶺の所であった。
「コテツさんが、俺のコテツさんが!俺の方が可愛いのに神林君なんかに浮気したー!」
うわーーん!。
「あらあら、それは大変ですね」
大口の演技に付き合う律儀な高嶺。
「コテツさんだけは違うと信じてたのに、やっぱり男は若い子の方が好きなんだーー!」
「よしよし可哀想に・・・」

おっ、俺にはこの二人の芝居にツッコミを入れる事は出来ないぞ・・・

「おっ、何だ何だ?夫婦生活のピンチってかぁ〜?」
「いっ、一ノ宮さん!」
佐々木の背後で先程まで豪快ないびきをかいていた一ノ宮がまだ眠たそうに大欠伸をしながら起きてきた。
「あらおじいちゃん、おはようございます。もう起きられたのですか?」
「朝食が出来るまで二度寝しようと思ってたのに、騒がしいから起こされてもたわ〜」
と高嶺のおじいちゃん扱いに怒る様子もなく素で返答する一ノ宮。そして、
「おじいちゃーん!コテツさんが神林に浮気したぁー!」
と高嶺から今度は一ノ宮にすがりつく大口。
「お〜〜、兵悟君もウブな振りしてなかなかやるねぇ〜」
「もう!おじいちゃん一体どっちの味方なんだよ〜!」
「ん〜〜とねぇ〜〜・・・」

・・・・・二人芝居が、三人芝居になった。
・・・・・これは一体いつ終わるんだ。俺はどうすればいいんだ

「佐々木…」
「あっ、しっ、嶋本隊長!?」
この後の訓練で使う資器材をチェックしていた嶋本がいつの間にかテントに戻ってきていた。
「・・・・・はぁ〜〜〜っ、お前もなこれくらい止めに入れんでどないすんねん。いつまでも見とるばっかりやったらいつかあいつらに客席料取られるぞ」
「はぁ・・・すみません…」

「お前ら・・・さっきから人がツッこまんかったらどんどん茶番劇進めやがって・・・・。そんな事しとる暇あったら、早よメシ作れぇぇえーー!



おわり☆





なんか嶋本隊はドタバタ家族劇がとてもよく似合う隊ですね
嶋の気苦労絶えなさそうです。頑張れ!
あの神林ににじりよられアレを見られそうになって焦るコテツさんか激ツボでした。まさかあんなに慌てるコテツさんがそうそうに拝めるなんて・・・全然永久凍土じゃないよ。たまんない・・・
今日のマガジンをどう見たらこんなアホなコテツさんが生まれてくるんだ。すみません。アレを見られまいと必死なコテツさんがあまりにもかわいかったので・・・
しかしすみません!私大口とコテツさんの口調も隊員同士の呼び方も全然把握できておりませんのでオリジナルな所は目をつぶってやってください!ペコペコ!





モドル