--- 宴本完売ありがとうございました!---
■■ お礼宴  お題 「 誘い受 」   ■■


「真田の彼女になったやつは大変だな〜」
「こんなレスキューロボといったいどんな会話が成り立つと言うんだ?」
「相手もやはりロボ系か?」
「それ以前に真田なんかに恋人がいるのかって話だ」
ガッハッハッ!
「おーい真田ぁー、お前好き勝手言われてるぞ〜。で、実際の所、どうなんだ〜」


「・・・失礼な、恋人くらいいるぞ」

「「「「 えええーっ! 」」」」


  +++ こいびと +++


ここはトッキュー隊御用達、安くて旨くて基地からも近い居酒屋である。
独り身の隊員が気軽に夜ご飯をここで食べて帰ったり、やれ宴だ反省会だと事あるごとに2階を貸りきって飲み会開催など、様々な規模や用途で頻繁に利用されている。
そして今日は誰が発端かはもう定かではないが、定時終わりの奴ら全員で晩飯を食いにいくぞ!という強制召集をかけられ断りきる事も出来ず現在に至る。


「で、どんな彼女だ?」
一斉に全員が真田を取り囲むように陣取り、好奇心で爛々とした眼差しを向ける。そしてその中心には相も変わらず無表情な真田がひとり。
酒の席では必ずと言っていいほど、独り身の隊員をいじって酒の肴にしようという既婚者隊員が必ず一人、いや、何人もいる。そして今日もまたそんな隊員達が寄り集まって独り身隊員を端から順に酒の肴にしてきたのだ。
そしてついに白羽の矢が真田に向けられた。真田がこの手の話題で酒の肴になるのかどうかも微妙だったがつつけば何か出てくるかも、と、とりあえずつついて見たところ、恋人はいると予想外の反応が返って来た。
ロボに恋人!?
こうなるともはや「酒の肴」どころか「メインディッシュ」な扱いで全員が真田の恋人話に食いついた。
しかし、しょせん相手はロボ。
「どんなといわれても何を言えばいいのだ」
何でもいいから早く言えよと周りは焦れるが、ロボには具体的に質問をしないと伝わらなかった。

「んじゃ、外見は?可愛い系か?それとも綺麗系か?」
「・・・そうだな俺から見ると可愛い系だな」
おお〜〜!

「年上か?年下か?」
「年下だ」
おぉ〜!年下の可愛い系かぁ〜!
真田が回答する度に周りからどよめきが起こる。

「背は?小柄?大柄?」
「小柄だな」
年下の可愛い系で小柄!?うおぉ〜そんな可愛い子が真田に?!考えられねぇ〜!

「性格は?外見は可愛いが実は性格がすんごい悪いとか?」
一つくらい悪い所があってもいいだろ、じゃないと気がすまね〜とばかりにだんだんあら探しのような質問になりだした。
「…性格か。とても元気で明るいぞ。曲がった事が嫌いで自分にも他人にも厳しく、とてもしっかりしている。頼りになるし信頼できる存在だ」
・・・・なんか外見からして意外な性格だな、と一同は一瞬固まりかけたが、それでも性格も素晴らしいに値するので、他に汚点はないのかと必死に次なる質問を考える。

「そうだ!アッチはどうなんだ?」 ニシシッ
「あっちとは?」
あ〜すまん。ロボにアッチは通じないな。
「夜の営みの方だ」
うお〜!まず真田の営みが考えつかねー!と一同は腹を抱えんばかりの勢いで笑い転げている。
「激しいのか?それともマグロか?」
マグロ?やはりこれもロボには理解出来ず周りを取り囲む一人が補足説明をする。
「あぁそういうのをマグロというのか。ではマグロではないぞ。とても積極的に協力してくれる」
えええーーっ!
非の打ち所がねぇええーー!


「嶋本進次、トイレより只今帰還しました〜!っていうか俺のおらん間に何盛り上がっとるんですか?廊下まで叫び声が聞こえてましたよ〜俺も混ぜてくださいよ〜」
酒も程良く入って陽気なテンションの嶋本が座敷に戻ってきた。
「お〜!嶋本いい所に帰ってきたぞ!」
「何すか、何すか〜?」
俺タイミング良かったんや〜 ラッキ〜〜!
と声をかけてきた同僚の隣にへタッタッタッとまるでリズムを刻むような楽しげな足取りで行きストンとその場へ座った。
「今な、真田の恋人の話を聞いてたんだ」
「ブフッ!!こっ、恋っ、っえええーー!!」
「さすが嶋本!いい反応だな〜!なっ、驚くだろ!俺らも今それでメッチャ驚いてた所なんだ」
「・・・・・は、はぁ」
なっ、なっ、何で隊長そんな話になっとるんですか!?
真田をチラリと見るがまだまだ尋問続行中でいろいろ話しかけられているようだった。
真田がこれまでに何をどのように話したのか気になる所だが怖すぎて聞く事が出来ない。自分が戻ってきた時点でみんなが自分をビックリしたような目で迎える事はなかったから、とりあえず今の時点で真田の恋人が自分だとバレてはいないようだと少しはホッとした嶋本だったが・・・・

「ということは積極的に乗っかる誘い受け系なのかー!」
ブッ!いっ一体何の話をしとんねん!?
話の流れがわからない分、余計に次に何を言われるか予想も付かず、不安で気が気でない嶋本だった。

「誘い受けとは?」
真田の口からあり得ない単語が飛び出る。そして、
「誘い受けとはだなぁ〜、彼女が夜の営みにとても積極的にお前の上に乗ってきてお前を誘惑しようとしたり、あと普段でもお前が恋人を見ていると無性に抱きつきたくなったり襲いたくなるようなエロさを匂わせたりするとても魅力的でたまらなくそそる恋人かということだ」
たっ、隊長に何アホな事教えよるんや!
しかも隊長も何真剣な顔して考えとるんですか!
うお〜ツッコミたい!話を遮りたいぃ〜〜!!!

「そうだな、そういうのを誘い受というのならそれに該当する節は少なからずあるな」
見ているといつでも触れたくなるし、抱きつきたくもなる、いつも誘われている感じがするのは否めない。――と真田は嶋本の心配をよそにどんどん話し出した。
「くぉぉお〜〜っ!存在自体が誘っているのかー!」
みんなが一斉に「うらやましい〜」だの「ロボのくせにムカつく〜!」だの口々に叫びながら畳の上をのた打ち回った。そしてその中心で飄々としている真田。

「で、(真田のくせに)一体そんな可愛い恋人とどこで知り合えたんだ?」
独身隊員は悔しいが自分もあやかりたいとばかりにゴクリと唾を飲み込みながら真田の答えを待つ。
「どこでも何もト…」
わぁぁあーーー!
「何だいきなり?嶋本、何を焦ってんだ?」
みんなが一斉に嶋本を振り返る。
「えっ、いや、あの〜〜…そうや、何か隊長のイメージ崩れるからそんな話はあまり聞きたないなーー、みたいな」
あはっあははっ
「嶋は神兵真田ファンクラブに入ってるくらい崇拝しているからな〜真田の恋人に嫉妬かぁ〜〜」
相手は強敵だぞぉ〜小悪魔のような誘い受らしいからな〜ガハハッとみんなが嶋本を見て笑う。
「しっ、嫉妬なんてしてませんよ〜!皆嫌ですわ〜」
っていうか、小悪魔のような誘い受って何やねん!!
「嶋本ぉ〜顔真っ赤だぞぉ〜〜」
アハハッ
「ええっ!ホンマですか!?俺酔ってもたんかな〜?アハッ、アハハッ・・・」

みんなにからかわれている嶋本を円の中心で一緒になって見ていた真田だったが、何を思ったかいきなりスッと立ち上がり、嶋本の元へ近づいた。
「・・・・・嶋」
「はっ、はい何ですか隊ちょ、ってうわぁぁあっ!!」
「どうしたんだ真田?いきなり嶋本を担ぎ上げて・・・」
「・・・誘われているようなので今日はこの辺で失礼します」

エッ・・・

スタスタスタ・・・

「たっ!隊ちょぉーーっ!!下ろしてくださいー!オレ、誘ってなんていませんてー!」
「いや、俺は誘われた。間違いない。」

スタスタスタ・・・

「たいちょぉぉおーーー!!」




「あー・・・何だ。酒でも飲み直すか」
「・・・そうだな」



【終わり】



×××オマケ×××

「嶋本、世間ではお前の事を誘い受というそうだ」
「ブフッ!なっ、何ですかそれ!俺そんな誘ってなんていませんよ!」
「いや、俺はいままでそのような言葉があることを知らなかったが、よくよく考えてみるととてもしっくりくる言葉だと思ったんだ」
「しっくりって・・・」
「いつも嶋本を見ていると無性にムラムラと来る。自分では今は勤務中だから自制しようと努めるのだが、嶋本が視界に入るだけで触れたくなるし、抱きつきたくなるんだ。これを誘われていると言わずになんと言おう」
「・・・そんな開き直って力説されても・・・っていうか隊長勤務中にそんな事考えとるんですか!」
「あぁ。今もそうやって可愛い顔して怒ってる嶋本に誘われてるぞ」
「ブフッ!!・・・それは俺が誘ってるんやなくて、隊長が勝手にムラムラ盛ってるだけですよ!発情期の犬とちゃうんですから落ち着いて下さいっ!」
「・・・・・そうか、俺一人が発情しているだけなのか・・・」 (あからさまに しゅん)
「あっ、いや・・・」
「嶋本は俺を誘ってはくれないのだな…すべては俺の勘違いだったのか・・・」 (さらに しゅん)
「いや、あの、隊長…そんな落ち込まんといてくださいよ。そっ、そうや!もっ、もしかしたら俺も少しは誘ってたかも・・・・・」
「本当か?」
「えっ、あっ、その…」
「本当なのか、嶋本」
「そっ、そんな恥ずかしいこと、何度も聞かんといてください・・・」 
「そうか。では、普段俺がムラムラするのはやはり嶋本が誘っているせいだったんだな。」
「いや、そこは違いますっ!何で俺が勤務中に隊長を誘わなあかんのですか!俺が誘っとるのは…. !!!」
「ん?・・・・いつだ?」
「!!! そっ、そんなん、言えるはずありませんやんっ!!」




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すいませんでした!嶋は存在してるだけで誘ってるんです。あえて何をする事なくても存在自体が誘い受けなんです。だから隊ちょは常に嶋に誘われつづけてるわけで…日々大変、みたいな。そんな話が書きたかったんですが、表現しきれませんでした。ガクリ









 サナシマ誘い受宴開催場所案内(笑) 
すてきな宴作品ばかりです!
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