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星野本人は生まれた時から星野なわけで、だから今更☆マークだとか一々反応することもなくなっていた。聞こえ過ぎる犬が騒音の中でも、生きていけるように。言ってみれば自己防衛本能のようなものだ。 しかしある日、星野はこの本能を激しく恨んだ。 ある日、大羽が「これメットに貼ったらどうじゃ?」と星型の赤いステッカーを差し出したのだ。 「ん?ヘルメットに?確かに目立って間違えなさそうだけど…」 う〜ん、と唸ってしまった星野だが、大羽が少し気落ちする様子が直ぐに伝わる。 「そうじゃな…星野じゃから星マークなんて子供みたいじゃ。はしゃいでしもてすまんの」 「え?なんでって?」 「…いや何も…」 さっさとあらぬ方向を向いてしまった大羽だが、耳をカ〜っと赤くしているのを見て確信する。 「最近、星の小物とか集めてたよね?」 幸せを噛み締めながらわざと問い掛ければ、慌てたように振り返り、きっと睨んできた。 「知らん!」 そうしておいて、その眼差しを受け止めた星野が幸せそうに微笑むと、一瞬の後にまた、そっぽを向いてしまった。 けれど、その頬が耳と同じく赤く染まっていたのは、バッチリ見えてしまった。 「えへへ、嬉しいよ。星型の小物とかマークとか、慣れ過ぎてあんまり気にしないようになっちゃってたから、気付かなくてすごく勿体ないことしたなあ。」 独り言のように呟けば、興味を引かれた大羽が、視線だけ向けてくる。 「何がじゃ?」 「うん?だってステッカー見つけて来てくれた時の大羽、すごく楽しそうで、いい顔してたから。その理由が僕に関係してたなんて。知ってたら、大羽の嬉しそうな顔、もっと見れてたのにって」 「ば…」 固まってしまった大羽の手から、星野はそうっとステッカーを取り上げた。 真っ赤な赤い星。 そういえば、と思う。 「大羽て赤が好きだよね」 「お、おう」 少し復活してぶっきらぼうに返ってくる言葉は照れてる証拠だ。 気持ちが繋がっていると、そんなことも伝わってくる。 「これ、僕が大羽色に染まってる感じで、すごく気に入ったよ!ありがとう」 にっこり微笑みながら言った言葉に、なんだか凄い衝撃を受けたらしい大羽が呆気にとられたように星野を見つめる。 「ん?」 「返せ」 「嫌だよ。明日おずに持って行ってヘルメットのてっぺんに貼るんだから」 大羽のこめかみが、ピクリと引き攣る。 「ヘルメットに貼るんは、止めじゃ」 「貼るためにくれたんでしょ?」 「じゃけん、なしじゃ」 「え〜もう貰ったんだから、どうしようと僕の自由だよ」 「ええから、返さんかあ!!!」 取り返そうと飛び掛かった所を、予期していた星野にしっかりと受け止められる。 きゅと少しきつく抱きしめれば、腕の中で「う〜」と唸りながらも大人しくなる。 「嬉しいんだ。だから使わせて」 「…」 「ね?ヒロ」 あまり呼ばない呼称をそっと耳元で囁くと、やがて小さく頷くのがわかった。 「ありがとう」 胸元に抱え込んだ大羽の頭に頬を寄せる。 「しゃあないけんど、色々しゃべったら許さんけんの」 抱えられた頭を振りほどきもせずに、腕の中でブツブツと言う姿が愛しくて堪らないから、星野は「うん」と幸せそうに微笑むのだった。 END |
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うわぁぁあ〜〜〜!ともこさんから星大をもらっちゃいましたよ〜〜〜!!うれしい〜! ともこさんがうちトコの大羽にと☆柄のグッズをお送り下さいまして、そのお礼メールを交わしてる際に『☆グッズをひそかに集めてる大羽』ってかわいいねという話になり、そうこうしてるとともこさんがくわっとこのお話を投下してくださったのですよ〜〜!もう携帯握り締めてフルフルニヤニヤしてしまいましたよ!めちゃくちゃかわいい〜〜!というわけで私もその後を勢いに任せて書かせていただいちゃいました(コチラ)。ともこさんありがとうございました!! | |
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