2月22日(星大編) 「今月ももう終わりじゃのぉ〜。この前年明けた思うたらもう3月じゃ」 「ホントだね〜あっという間だよ…っあああっ!!」 ビクッ!! 「なっ、なんじゃ!?どないしたんじゃ!?」 「うわぁ〜!忘れてたぁ〜!」 そう言うなり星野は両手で頭を押さえ机にふさぎ込んでしまった。 「・・・大丈夫か?何か大事な用事でもあったんか?」 尋常じゃない様子の星野。見ていた大羽も思わず不安になってしまう。 何か余程の用事があったのだろうか。しかしきっちりしている星野が予定を忘れてしまうとは珍しい事だ。 「はぁ〜なんでこんな大事な事を忘れてたんだろ・・・信じらんないよ」 はぁ〜〜っ・・・と盛大なため息。 「・・・何かわからんが、忘れとったもんは今更悔いてもどうにもならんで。もしそれで誰かに迷惑かかっちょるなら今すぐ連絡した方が・・・」 仕事関係の事を忘れていたというのなら、落ち込むよりもまずは連絡を取って被害は最小限に留めるべきだと言おうとした、がその言葉はガバッと身を起こした星野によって遮られた。 「ヒロは気づかなかったの!?」 ええっ!? 「ワシも関係あるんか!?」 星野の事だと思い第三者的立場でもって星野に慰めの言葉をかけていた大羽だが、今の言葉で自分も何か重大な事を忘れてしまっている事となった。 慌ててカレンダーを見るが忘れている事柄に検討がつかない。忘れている事が分からないほど綺麗サッパリ忘れてしまっているとは、中途半端に思いだし悔しんでいる星野より質が悪い。 思い出す事が出来なければ星野のように悔しむ事すら出来ない。 もし仕事の事なら誰かに迷惑をかけているかもしれん・・・しかし必死に思い出そうとしても思い当たる節が全くない。 ワシは何かとんでもないことを忘れてもたんじゃろか・・・ 一気に不安になった。 チラッと星野を見ると「大羽も忘れてたんだね・・・」と言わんばかりの悲しそうな表情でこちらを見ていた。 自分の非に自分で気付く事が出来ず他人から答えを聞くのには気が引けたが、もし重要な事ならばなりふり構っていられない。 「スマン・・・全然検討がつかん。ワシは何かとんでもないことを忘れてもとんじゃろか・・・」 大羽は恥を捨て星野に答えを求めた。 「・・・やっぱりヒロも忘れてたんだね。2月22日だよ」 「22日?」 22日に何があった!? 何か予定は入っていたか!? 大羽は22日の事を脳内の引き出しという引き出しを開けまくって思い返した。 だが、やはり思い出す事はできなかった。 「スマン、やっぱり思い当たらん」 「ニャンニャンニャンだよ」 「はぁ!?」 「2月22日だからニャンニャンニャン。本当は猫の日らしいけど、恋人達の間ではニャンニャンする日って言われてるんだよ。」 「えっ、ちょ、待て!星野が忘れとって、ワシも忘れとった事っちゅーんは、」 「ニャンニャンする日」 「・・・・・」 「あれ?もしかしてヒロ知らなかった??」 コクンと大羽は頷く。 そうなんだ〜、せっかくのニャンニャンする日にヒロとニャンニャンするのを忘れるなんて俺一体その日何考えてたんだろう、いつもヒロの事しか考えてないのに・・・ああ!もうすっごい悔しい!と所々ツッコミが入れたくなる言葉ではあったが、本気で悔しがっている様子の星野。 「・・・ワシは、何かとんでもないことを忘れてもたんじゃろかと本気で心配したのに・・・」 「・・・ヒロ?」 「そんなしょうもない事でいちいち大袈裟に騒ぐなぁー!!」 「そんなぁ〜・・・大袈裟にって、年に一度しかないニャンニャンの日だよ。しかも俺とヒロにとって初めてのニャンニャンの日だったのに〜。そんな大切な日にニャンニャンし忘れるなんて・・・」 これを悲しまずにいられるなんて・・・ヒロは平気なの!?――と半逆ギレぎみの星野に言い寄られる。 「そっ、そがあなもん、ニャンニャンの日に関係なくいつもニャンニャンやっとるやろが!」 あれだけいつもやっちょって何が不満なんじゃ!――とこちらも逆ギレぎみの大羽。 「ヒロ・・・」 「何じゃあ!不満があるなら言ってみい!」 「・・・ううん、不満なんてない。俺らいつもニャンニャンだもんね」 「そうじゃ、ワシ等はいつもニャンニャなん・・・っ!!」 カァ――ッ!! 「なぁ〜んか俺、ヒロの口からニャンニャンて言葉聞いてたらだんだん幸せな気分になってきた」 ニャンニャンの日を忘れてたのもどうでもよくなってきた。何せ俺達はいつでもニャンニャンなんだもんね――と大羽を見ながらエヘヘと照れるように笑う星野。 「はっ、謀ったな!」 「えっ、謀るって何の事?」 「もう星野なんか知らん!」 「えっ、何!?ヒロ、何で急に怒るの!?」 「知らん言うたら知らん!もうお前の口車には乗せられんで!」 「ヒロぉ〜〜」 「知らん!」 【終わり】 ニャンニャンニャン・・・猫の日・・・ 某サイト様でこの素敵デイに気づいた時私も書きたかったのですが間に合いませんでした。なのでうちとこの星野君にも忘れさせてみました。 大羽にニャンニャン言って欲しかったのです。ニャンニャン☆ニャンニャン☆うへへ・・・・ 2006.2.26 |