NO.1 |
雪 |
今日は久しぶりに昼頃雪が降った。 どおりで今日は朝から空気も冷たいはずや。 いつから降っとったんやろ? 窓の外の景色に白いもん見た途端、基地内は暖房きいとるはずやのにブルッと身震いしてもた。 待機中の他の隊員達も 「見た目からして寒そうだから早くやんでくれ〜」 「事故が起きる〜出動要請がかかる〜」と嘆き組が大半やった。 隊長に「寒いからお茶入れましょか」って声かけようと、右斜め後ろの机にいる隊長の方へイスごとグルッと体を回転させた。 アレ? さっきまでそこに座ってたはずの隊長がおらんくなってた。 待機室をぐるっと見回してもどこにも姿は見えへん。 どっか行かはった? 二階??特に何も仕事なかったはずやけど…。と思ったけど一応二階の器材庫へ見に行ってみた。 やっぱりおらんかった。 じゃあトイレかな?と思いながら待機室に戻り際のぞいてみたけど、ここにもおらんかった。 おかしいな〜どこ行かはったんやろ? って言っても、この基地そんなに広ないからこれでおらんかったら外しかないやろ。 基地長室も呼び出しや報告事項がない限り行く事ないしな。 でも外も少しやけど雪が積もり始めてるくらいやからかなり寒いよな。 けど隊長の席にはイスに上着がかかったまんまや。てことは半袖でうろついてはるって事になるけど… ホンマに隊長、外におるんやろか? って考えてる間ですら隊長が戻ってきそうな気配も全然ない。 一度気になった事ははよ解決せな気持ち悪いしな。と意を決して上着を羽織り整備場側に出てみた。 やっぱり寒いわ〜!!しかもかなり風が出てきてバシバシと雪がななめ降りで俺を攻撃してくるし!(怒) 視界も白くて見にくいし。整備場側は視界を遮るもんは何もないねんけど、見える範囲では隊長の姿はないみたいや。 おかしいな〜?ここしかないて思たんやけどな〜 「たいちょーー!」 目で確認出来なければ耳でも探せ。レスキューの基本や。 って隊長は要救助者かい! 自分にツッコミ入れながらも風に負けんくらい気合い入れて何度か呼んでみた。きっと基地ん中にも聞こえとるはずや。中におったらそれはそれで返事してくれるやろし。 「…マ、嶋本、こっちだ。」 何度目かの叫びの後、微かにやけどあの低めで落ち着いたよく通る声が聞こえてきた。 「隊長!どこですか?どこにおるんですかー!」 隊長とは正反対に俺は落ち着きない必死感ありありのデカイ声で叫び、そして隊長の返事を聞き漏らさないように耳をすませた。 「嶋本、整備場側か?俺は逆だ。基地の入り口にいる。」 と隊長の声を確認。 は?入り口側?何してはるんやろ?と不思議に思ったけど「今から行きますー!」 と反対側の入り口にいるであろう隊長に向かって叫び、基地の中を通り抜けて入り口にダッシュで向かった。 途中トイレから出てきた黒岩隊長に 「お〜嶋本、真田とかくれんぼか〜。やっぱ雪が降ったら子供は元気になるな〜」 とからかわれてもた。 相手が同僚やったら「うっさいわ!しばくぞ!」って蹴り一発お見舞いする所やけどそんなわけにもいかず 「まぁそんなトコですわ〜」 と苦笑いして通り過ぎた。 やっぱり基地の中にもバッチリ俺の声聞こえとったんや。 基地はホンマに小さいから入り口まで20秒もかからず入口側へたどり着ける。 「隊長ぉー!どこですかー!」 ガチャと扉を開けて出ようとした時、足元に何か大きい物体がみえた。 「うわぁっ!!」 けどこっちはそんなもん予測してないやん!「車は急に止まれません」、同様「人も急には止まれません」。その物体Xに足がひっかかってもて、Xの向こう側に勢いよくジャンピングでんぐり返しをし最後はクソ冷たい雪の上に尻餅をつくという失態をかましてもた。 「、っそぉ〜!何やねんコレ!」 腰さすりながら俺をこんな目に合わせた憎き物体Xを振り返った。 「ッ!たっ、隊長っ!!」 ビックリしたで!俺がひっかかったその物体Xこそ探してた真田隊長やってん。 「すっ!すいません!大丈夫ですか!まさかこんなトコにおる思わなくておもいっきりぶち当たってしまいました!ホンマすいません!」 あわてて立ち上がり扉前にしゃがみ込んでた隊長にペコペコと高速おじぎで謝りまくった。 「いや、俺の方がこんな所にいて悪かった。嶋本こそ大丈夫か?」 「ハイ!大丈夫です!」 と思わずシャキッと敬礼してもた。それには隊長もフッと笑ってくれた。(あっウケた。って喜んどる場合ちゃうねん) で、ようやく落ち着いて隊長を見ることが出来たから 「ところで隊長こんな所で何しとるんですか?お茶入れましょかって声かけよ思ったら隊長の姿が見えへんから基地内探しまくってしまいましたよ」 と本題を切り出した。 |